思うだけで学ばない日記 2.0

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【生存〜】3囚人問題【戦略〜】

以下標本空間を記号Ωで表し、その要素eの確率をP(e)と書く。

とした上で、3人の囚人A,B,Cのうち、処刑される2人を小文字で書くとしよう。

特赦される囚人が決定された時点の(事象の生起を記述する)確率空間:

Ω_1 = {初期事象} = { Abc, aBc, abC }, ∀e∈Ω_1: P(e) = 1/3 (とみなす)


で、二通りのケースを考ゆる、

看守が完全知識を有する場合

看守は処刑される2人が誰と誰であるか完全に知っており、どちらかをランダムに答える。
ただし、看守は処刑される2人のうちの一人がaの場合は、必ずもう一人の名前を答える。

よって、看守がAに回答した時点の確率空間は次となる:

Ω_2 = {初期事象}×{看守回答} = {
    (Abc, b), (Abc, c), -- それぞれP(e)=1/6,
    (aBc, c), -- P(e)=1/3
    (abC, a), (abC, b)  -- それぞれP(e)=1/6
    上記以外 -- 全てP(e)=0
}

Ω_2のうち、看守がbと答える事象は

    (Abc, b), (abC, b)

の2つ。さらにそのうちAが特赦される事象は

    (Abc, b)

の1つだけ。よって、事後確率は

    P((Abc, b)) / ( P((Abc, b)) + P((abC, b)) ) = (1/6) / ( (1/6) + (1/6) ) = 1/2

看守の知識が不完全なことがある場合

看守が完全知識を持つとは限らないとすると面白いことが起こる。

このとき、看守がAに回答した時点の確率空間は次のようになる*1

Ω_2' = {初期事象}×{看守の知識}×{看守回答} = {
    (Abc, bc, b), (Abc, bc, c), -- それぞれP(e)=(1/6)*p
    (Abc, b, b), (Abc, c, c),   -- それぞれP(e)=(1/6)*(1-p)
    (aBc, ac, c),               -- P(e)=(1/3)*p
    (aBc, a, a), (aBc, c, c),   -- それぞれP(e)=(1/6)*(1-p)
    (abC, ab, b),               -- P(e)=(1/3)*p
    (abC, a, a), (abC, b, b)    -- それぞれP(e)=(1/6)*(1-p)
    上記以外 -- 全てP(e)=0
}

ここでpは、看守の知識が完全である確率。ただし簡単のため、看守が知識0である可能性はないものとしている*2。また嘘はつかないものとする。

注意深い読者は(aBc, a, a)等、最も右の要素がaであるケースの生起に疑問を呈するかもしれない。これは「Aが処刑される」とA本人に告げるのと同義なので禁じ手ではないか、というわけだ。
しかし看守はa以外に誰が処刑されるのか知らないのだから(∵中央の要素がaだる)、正直に回答するか、沈黙をもって答えるしかない。どちらにせよ看守が知識0ではありえず嘘もつかないことを知っているAからみて、正直に回答しているのと変わらない。

で、Ω_2'のうち、看守回答がbである事象は

    (Abc, bc, b), (Abc, b, b), (abC, ab, b), (abC, b, b)

の4つ。さらにそのうちAが特赦される事象は

    (Abc, bc, b), (Abc, b, b)

の2つ。

よって、Aが特赦される事後確率は

    ( P((Abc, bc, b)) + P((Abc, b, b)) ) / ( P((Abc, bc, b)) + P((Abc, b, b)) + P(abC, ab, b) + P((abC, b, b)) )
   = ( (1/6)*p + (1/6)*(1-p) ) / ( (1/6)*p + (1/6)*(1-p) + (1/3)*p + (1/6)*(1-p) )
   = (1/6) / ( 1/6 + (1/3)*p + (1/6)*(1-p) )
   = 1 / (1 + p)

あんまり面白くならんかったorz、、

というわけですみなさん死刑囚として収監されたときお役立てください

*1:多少複雑だが、P(Ω)=1であることを確認されたい。

*2:知識が完全=2名とも知っている、知識が不完全=1名しか知らない、ということ。