2人兄弟姉妹のもう一人が女の子である確率
以下標本空間を記号Ωで表し、その要素eの確率をP(e)と書く。
2人兄弟姉妹がたくさんいるの中から1つをランダムに選んだ時点の(事象の生起を記述する)確率空間:
Ω_1 = {初期事象} = { 姉妹, 姉弟, 兄妹, 兄弟 }, ∀e∈Ω_1: P(e) = 1/4 (とみなす)
で、2通りのケースを考ゆる、
兄弟姉妹を1つ選んだ時点で2名のうちどちらの性別も完全にわかる場合
兄弟姉妹を1つ選んだ時点で2名のうちどちらの性別も完全にわかるものとすれば、Ω_1のうち、一人が女の子である事象は
姉妹, 姉弟, 兄妹
の3つで、いずれもP(e)=1/4。このうち、さらに両方が女の子である事象は
姉妹
の一つだけ。
ので、「一人は女の子」という条件の下で、もう一人が女の子である確率(条件付確率 or 事後確率)は
P(姉妹) / (P(姉妹) + P(姉弟) + P(兄妹)) = (1/4) / (3*(1/4)) = 1/3。
ま、これは『僕には数学が景色に見える』という本の結論に一致するわけだが。
兄弟姉妹を1つ選んだ時点で2名のうちどちらかの性別しかわからない場合
一方、兄弟姉妹を1つ選んだ時点では2人のうちどちらかの性別しかわからないとすれば、面白いことが起こる。
この場合、1つの兄弟姉妹に含まれる2人のうち、どちらが先に選択された(性別を確認された)かが問題になる。兄弟姉妹であるから、これは年齢の大小で識別できる。
すると、1人を選択した時点での確率空間は次となる:
Ω_2 = {初期事象}×{選択} = { (姉妹, 年齢大), (姉妹, 年齢小), -- それぞれP(e)=1/8 (姉弟, 年齢大), (姉弟, 年齢小), -- それぞれP(e)=1/8 (兄妹, 年齢大), (兄妹, 年齢小), -- それぞれP(e)=1/8 (兄弟, 年齢大), (兄弟, 年齢小) -- それぞれP(e)=1/8 }
これはぶっちゃけ、次のように書いても同じ。
Ω_2 = { (姉妹, 姉), (姉妹, 妹), -- それぞれP(e)=1/8 (姉弟, 姉), (姉弟, 弟), -- それぞれP(e)=1/8 (兄妹, 兄), (兄妹, 妹), -- それぞれP(e)=1/8 (兄弟, 兄), (兄弟, 弟) -- それぞれP(e)=1/8 }
年齢の大小をここでは2人のうちどちらかかを識別するのに使っただけだからだ。
Ω_2のうち、「一人は女の子」である事象は
(姉妹, 姉), (姉妹, 妹), (姉妹, 姉), (兄妹, 妹)
の4事象であり、いずれもP(e)=1/8。さらに両方が女の子である事象は
(姉妹, 姉), (姉妹, 妹)
の2つ。
ので、「一人は女の子」という条件の下で、もう一人が女の子である確率(条件付確率 or 事後確率)は
( P((姉妹, 姉)) + P((姉妹, 妹)) ) / ( P((姉妹, 姉)) + P((姉妹, 妹)) + P((姉妹, 姉)) + P((兄妹, 妹)) ) = 1/2。
ま、これは『僕には数学が形式に見える』という本の結論に一致するわけだが。
むすび
今日のエントリは、某所で「1/3しかありえない」とか、「3囚人問題と同じ」とか主張するキチガイに絡まれてえらい目にあったから書いたノデス!